『ペンギン・ハイウェイ』を観てきた話(ネタバレなし)

今日は森見登美彦先生原作のアニメーション映画『ペンギン・ハイウェイ』を観てきた。本当は『カメラを止めるな!』も観たかったのだが、人気作品を休日に鑑賞するのにチケットも取ることを怠っていた阿呆たちは鑑賞を諦めることを余儀なくされた。

 


『ペンギン・ハイウェイ』 スペシャルトレーラー

 

星乃珈琲で友人とクラッシュ・ロワイヤルの協力バトルでひとしきり盛り上がった後で、『ペンギン・ハイウェイ』を鑑賞しに難波の映画館へ向かった。そして、鑑賞した後で心をぎゅっと掴まれたような感覚に陥り、パソコンの前でどのようにあの作品を形容すべきかを悩みながら現在に至る。

 

四畳半神話大系』から森見ワールドにズブズブに引きずり込まれ、それからは小説が出るたびに買い、各アニメや映画は必ず足を運ぶほどの森見登美彦先生ファンだ。ちなみに先日は念願の古本市に出かけ、勇ましくラ・タ・タ・タムを探しに本の海に飛び込むも、埃アレルギーが発症し鼻水が止まらなくなってしまったが、これは余談であるのでひとまず置いておく。

 

ペンギン・ハイウェイ』もその例に漏れず、原作もしっかりと読んでいた。本の感想としては、『四畳半』や『夜は短し』等で散見される癖のある文体や言葉選びのある作風とは異なる内容であり、個人的には森見登美彦作品では3本の指に入ると断言できるほど好きな作品であった。そんな作品が映画化したと聞いた時は目玉が飛び出るほど驚いた。

 

その作品を実際に映画として鑑賞したわけだが、私としては高評価と賛辞を送りたいというのが正直な感想である。最近アニメーション映画(もっともそもそもの映画自体)を鑑賞していた訳ではなかったが、唯一映画館へ観に行った『君の名は。』と比較するなら、私は『ペンギン・ハイウェイ』を推したい。

 

ストーリーの尺に関しては、『君の名は。』の方が程よい尺であったものの、アニメーションでの表現力はこちらの方が圧巻であった。もともと摩訶不思議な世界が描かれている森見登美彦作品をここまで動画で表現できるのかと素直に感動してしまった。笑いどころを入れながらも、重く悲しいシーンをしっかりと描く。動的な表現も引き込まれるほど魅力的に描いている。生駒市がモデルであるが、かなりモデルに似せて描かれていると地元ファンは熱く語っていた。併せて音楽も良かったと追記しておきたい。

 

そして、何と言っても主人公を担当されていた北香那さんとお姉さんを担当されていた蒼井優さんの演技がたまらなく良かった。最初はお姉さんの演技に違和感を感じたが、10分も経てばもう目の前にはアオヤマくんとお姉さんがいた。賢く少し大人びていて、生意気、けれどもお姉さんのおっぱいのことを考えているアオヤマくんと、おっぱいが大きくてミステリアスだけど、明るく無邪気なお姉さんが、そこには存在していたのだ。

 

そんな彼らに感情移入して時に嬉しく、楽しく、時に悲しく、せつなくなりながらも、この映画を鑑賞し終えた。今思い出しても心がぎゅっと締め付けられる、そんな感覚に陥るのだ。この物語からは感じることは1つだ。人間は生まれ、そして死んでいく。その間で、私たちは夢や愛をどれだけ追い求めてどれだけ維持し深めて生きていけるのだろうか。それが叶うだとか叶わないだとか、始まるだとか終わるだとかを考えずにひたむきに走り続けるであろうアオヤマくんが愛おしい。そんなことを考えながら、今日はここで筆を置くことにする。